新卒者の採用抑制は、就職希望者にとっては難しい状況であるが、
将来において一番悪影響を受けるのは、自らが新卒者の採用を抑制している企業である。

昨日読んだ本の中に、
「1970年代後半の不況の影響で、技能職採用を一時停止した企業が多く、
40代半ばから後半の層が極端に少ない」
「団塊の世代が退職した後、30代の現場班長が数多く誕生している」
といった主旨のことが書かれていた。40代半ばから後半というのは、まさに私の年代である!
このことは、私が現実に見聞きしたことと一致していて、
実際、大企業、上場企業で同年代と接する機会は少なく、
中小企業では「同級生だね」ということがよくある。

そんな状況に置かれた大企業は、50代の退職前の社員に対し役職の変更や、
新たな役職をつくり、実質的な定年延長を図ったり、
嘱託扱いで再雇用して、急場をしのごうとしているようだ。
目先は良いとしても、その間に打つ手があるかというと、特効薬はないので、
次の世代が育つまでの長い期間、新陳代謝がないまま、今の状況を乗り切らなければならない。
次の世代にとっても、直接、近いところで「団塊の世代の苦労や技術」を見聞きしたことはなく、
前の世代が抜け落ちていて、「先輩」と呼べる世代からの引継ぎ、伝承も足りない。

中小企業は、会社の未来を考え採用したいと強く思っているが、
ここまで厳しくなるとそうはいかないのが現実であろう。

日本の生きる道を考える時、技術の伝承は当然のことながら、技術の向上、革新に向けて、
せめて技術系の採用抑制だけは避けられないものか?
大企業において、ここ何年かの雇用抑制に、本当のメリットはあるでしょうか?
新卒者を雇用したからといって、安定株主からの非難はないと思うのだが!