ローカルダイカストメーカー(以降K社)のコンサルをして1年以上になる。
延べ日数で言うと120日を越えた。
このメーカーは1年前からフル操業がつづいていて、
更に工場用地を取得、工場を新築し設備増強をはかる。
2輪・4輪の販売台数の増加と計画を見れば当然ではある。
しかし、
今後数年間の各社の生産計画は大幅な増産計画となっている。
それを供給側から考えた場合どうか?
土地は取得し、設備も買えばハード面は揃うが・・・。
物流、電力供給などのインフラの問題は避けては通れないが、
その辺は棚上げして考えてみる。

人・物・金でみると、やはり人についての問題が更に顕在化してくるのではないか。
人を質と量と循環に分けて眺めてみる。

質と量というのは当然のことながら密接に関係している。
どのような能力(潜在的能力も含め)を持った人材がどのくらい存在するのか。
ダイカストメーカーにおいて、どんな能力が必要で、どのくらい必要か?
能力を身につける、身につけさせる=教育訓練の環境は揃っているか?など。

教育訓練する環境が整っていれば、質については一定の範囲で向上させうるし、
量的にも現場に供給可能となる。

K社の現場の現状
・現場オペレーターは会社があるデリー周辺(ハリアナ州)の出身者は少なく、
 多くは地方、農村からの出稼ぎ労働者。熟練オペレーターについては、
 同じ工業団地内で同業者間の争奪戦が起きている。
・現場責任者はダイカストメーカーを渡り歩いている経験者で、
 この一年間辞めずに残っている責任者は、私が直接教えているマネージャーのみ。
・日に22時間、月に30日稼動させても未納を起こすほどの仕事量。
・他部門との連携は日本の行政かと思うほど縦割り。
・カーストの影響があるのか現場からの昇進には限界があるよう。
・インドでは就労開始年齢は14歳と規定しており、過去の出生率の高さから
 今後労働人口が増加する。(2007~2008資料より)

この状況から、
労働人口増加から量的には供給に問題は無く、若年労働者の増加でコストは抑えられる。
質的にはどうか?オペレーターについては農村からの若年労働者と考えると、
それ相応な教育が必要で、出身地域によっては言葉の問題も発生する。
教育する側の現場責任者は、報酬UPをねらい会社を渡り歩くため、
教育する側が変わってしまうことで、職人的技術の一貫した教育や伝承が困難。
それに加え、超繁忙ときているから責任者は日々の生産、
トラブル処理に追われ教育どころではない。
折角教え込んだ熟練オペレーターは引き抜かれ、責任者のモチベーションが下がる。
決して良い循環ではない。

販売台数の増加に、供給側がついていくにはどうするのか?
2輪・4輪メーカーは考えているはず・・・。